茅は、ただの「ススキ」
ではありません。
一年を通して草原を守り、火を扱い、職人の技で“かや”へと育てられます。
かやが育つまで
一年を通して、かやを育む

茅は、ただの「ススキ」ではありません。
茅の一束には、自然と向き合い続ける長い営みが積み重なっています。広大な茅場を歩き、季節ごとに移り変わる風や火と向き合いながら、ときに危険を伴う作業を、職人たちは一つひとつ積み重ねてきました。
厳しい環境の中で行われる手入れの連続によって、茅はようやく“素材”として形を帯びていきます。

8月 夏の終わり、草原に立つ
夏が静かに終わりを告げる頃、茅場の風の色が変わり始めます。8月、山のふもとでは草刈りが始まり、防災林の周りの草を丁寧に刈り払っていきます。刈った草が風に揺れ、夏の名残の香りが漂います。この作業は、冬の火入れを安全に行うための大切な準備。余分な草が残れば火が広がる危険があるため、人々は来年の茅葺き屋根を思い描きながら、静かに草原に立ち続けます。

茅場に息づくいのち-野うさぎ
茅場を歩くと、草の陰からふっと野兎が飛び出すことがあります。この草原は、彼らが身を隠し、季節を生き抜く大切な場所。茅場が毎年手入れされ、草地として保たれることで、こうした小さないのちも守られてきました。人の手でつくり守る草原と、そこで暮らす動物たち。その静かな共存こそが、茅場がもつ豊かさを物語っています。

10月 火を迎える前の手仕事
やがて季節が進み、空気に少しずつ秋の気配が混じる10月。
風が冷たくなる頃、茅場では防火帯づくりが始まります。それは燃やすための準備ではなく、火が進んでよい場所と、守るべき場所を分けるための大切な工程。この静かな手仕事が、
後の炎のふるまいを決めていきます。

11月 晩秋、火と向き合う緊張の時間
木々が色づき、風が冷たさを帯びはじめる11月。
いよいよ防火帯づくりのための火入れが行われます。刈り集めた草に火を入れるこの工程は、火と向き合う緊張の時間。風向きや湿度を読み取り、経験を頼りに火を慎重に操ります。炎が小さく草を焼き、黒い地肌が現れていく防火帯は、冬の野焼きを安全に迎えるための大切な境界線です。

12月 冬の光の中、茅を刈る
白い息が空に溶けるほどの寒さの中、人々はようやく茅を刈り始めます。冬の日差しを浴びた茅は金色に輝き、手に取ると一年の恵みが感じられます。雪を踏む音や茅のささやきの中、人々はひと束ずつ丁寧に刈り、長さをそろえて束ねていきます。この茅は、来春どこかの家で屋根として生まれ変わる大切な素材です。

2月 草原が炎に包まれる日
冬の終わり、2月 茅場へ炎が走ります。
野焼き――それは、草原を新しい命へと導く儀式。
燃え広がる火は古い草を焼き払い、地面は黒く輝きながら新しい命を迎える準備を整えていきます。火の進み方や風向き、地形の変化、経験を頼りに火を安全に扱っていきます。炎が静かに消えた後、現れた黒い大地は深い息をつくように静まり、春の芽吹きを待ち始めます。

そして一年がめぐり、屋根となる
夏の草刈り、秋の防火帯づくり、冬の茅刈り、そして春を呼ぶ野焼き。茅場の一年を経て、ようやく茅葺き屋根の材料が整います。屋根に使われる茅には、風と火と人の手が育んだ物語が宿っています。茅場を守ることは、草原を保つだけでなく、日本の暮らしと文化を未来へつなぐ営みです。
ストーリー
Story
かやが育つまで
一年を通して、かやを育む
茅の一束には、自然と向き合い続ける長い営みが積み重なっています。
広大な茅場を歩き、季節ごとに移り変わる風や火と向き合いながら、
ときに危険を伴う作業を、職人たちは一つひとつ積み重ねてきました。
厳しい環境の中で行われる手入れの連続によって、茅はようやく“素材”として形を帯びていきます。

8月 夏の終わり、草原に立つ
夏が静かに終わりを告げる頃、茅場の風の色が変わり始めます。
8月、山のふもとでは草刈りが始まり、防災林の周りの草を丁寧に刈り払っていきます。刈った草が風に揺れ、夏の名残の香りが漂います。
この作業は、冬の火入れを安全に行うための大切な準備。
余分な草が残れば火が広がる危険があるため、人々は来年の茅葺き屋根を思い描きながら、静かに草原に立ち続けます。

茅場に息づくいのち-野うさぎ
茅場を歩くと、草の陰からふっと野兎が飛び出すことがあります。この草原は、彼らが身を隠し、季節を生き抜く大切な場所。茅場が毎年手入れされ、草地として保たれることで、こうした小さないのちも守られてきました。
人の手でつくり守る草原と、そこで暮らす動物たち。その静かな共存こそが、茅場がもつ豊かさを物語っています。

10月 火を迎える前の手仕事
やがて季節が進み、空気に少しずつ秋の気配が混じる10月。
風が冷たくなる頃、茅場では防火帯づくりが始まります。
茅場では、来るべき火入れに備え、草を根元から丁寧に刈り取る作業が始まります。それは燃やすための準備ではなく、火が進んでよい場所と、守るべき場所を分けるための大切な工程。
この静かな手仕事が、
後の炎のふるまいを決めていきます。

11月 晩秋、火と向き合う緊張の時間
木々が色づき、風が冷たさを帯びはじめる11月。
いよいよ防火帯づくりのための火入れが行われます。
刈り集めた草に火を入れるこの工程は、火と向き合う緊張の時間。風向きや湿度を読み取り、経験を頼りに火を慎重に操ります。
炎が小さく草を焼き、黒い地肌が現れていく防火帯は、冬の野焼きを安全に迎えるための大切な境界線です。

12月 冬の光の中、茅を刈る
白い息が空に溶けるほどの寒さの中、人々はようやく茅を刈り始めます。
冬の日差しを浴びた茅は金色に輝き、手に取ると一年の恵みが感じられます。雪を踏む音や茅のささやきの中、人々はひと束ずつ丁寧に刈り、長さをそろえて束ねていきます。
この茅は、来春どこかの家で屋根として生まれ変わる大切な素材です。

そして一年がめぐり、屋根となる
夏の草刈り、秋の防火帯づくり、冬の茅刈り、そして春を呼ぶ野焼き。
茅場の一年を経て、ようやく茅葺き屋根の材料が整います。屋根に使われる茅には、風と火と人の手が育んだ物語が宿っています。
茅場を守ることは、草原を保つだけでなく、日本の暮らしと文化を未来へつなぐ営みです。

2月 草原が炎に包まれる日
冬の終わり、2月 茅場へ炎が走ります。
野焼き――それは、草原を新しい命へと導く儀式。
燃え広がる火は古い草を焼き払い、地面は黒く輝きながら新しい命を迎える準備を整えていきます。火の進み方や風向き、地形の変化、経験を頼りに火を安全に扱っていきます。
炎が静かに消えた後、現れた黒い大地は深い息をつくように静まり、春の芽吹きを待ち始めます。
ストーリー
Story
